例題で解説する J-PlatPat の使い方 (3) ―― 5分で特許公報の内容をつかむ

特許検索

目的の特許を見つけたら、特許公報の内容を確認します。

でも、慣れないうちは、特許公報を開いて最初から最後まで読むのは大変です。

しかし、特許公報を全部理解する必要はありません。
まずは、
  この文献は自分の探しているテーマに関係しているか?
を判断すれば良いので、必要な部分だけ、サッと確認しましょう。

今回は、特許公報を効率よく読む順番を説明します。

おすすめは「発明の名称→要約→図→請求項」

特許公報を確認するための、おすすめの順番は、

  発明の名称
  ↓
  要約
  ↓
  図面
  ↓
  請求の範囲
  ↓
  背景技術・発明が解決しようとする課題
  ↓
  発明を実施するための形態

です。順番に見ていきます。

発明の名称を見る

まずはタイトル(発明の名称)です。

例えば、
「転倒検出装置」
「ユーザー状態判定装置」
「ウェアラブルデバイス」
などと書かれていれば、今回のテーマとの関連性をある程度判断できます。

しかし、タイトルだけで判断するのは危険です。
特許のタイトルは非常に広い名称になっている場合があるからです。

そこで次に要約を読みます。

要約を読む

要約は、その発明の概要を把握するのに便利です。

今回の場合、

  • 何を検出するのか
  • どんなセンサを使うのか
  • 何を基準に転倒を判断するのか
  • 転倒後に何をするのか

といった点に注目します。

例えば、
  加速度センサから取得した信号を用いて装着者の転倒を判定する
という内容があれば、かなり今回のテーマに近い文献でしょう。

逆に スマートウォッチ という言葉が出てきても、転倒検出が発明の中心でない場合があります。

キーワードが一致しているかではなく、技術の内容が一致しているかを見ることが重要です

図面を見る

次に図面を確認します。
文章だけを読むよりも、図を見ることで発明の全体像が一気に理解できる場合があります。

ウェアラブル端末に関係する特許なら、
  腕時計本体
  センサ
  プロセッサ
  通信部
  スマートフォン
  サーバ
などの関係がブロック図で示されている場合が多いと思われます。

また、転倒を検出する処理に関係する特許なら、

  「センサ値を取得する」
   ↓
  「転倒の可能性を判定する」
   ↓
  「ユーザーに確認する」
   ↓
  「応答がなければ緊急通知する」

といった処理の流れのフローチャートが示されている場合が多いと思われます。

図面は、特許技術を理解するための非常に強力な手掛かりです。

請求項を読む

そして重要なのが「請求の範囲」です。

特許請求の範囲は、特許として権利を求めている発明を文章で表した部分です。
その中でも、まず確認したいのが請求項1です。

例えば、
「センサと、センサから得られたデータに基づいてユーザーの転倒を判定するプロセッサと……」
という形で発明の構成要素が記載されているかもしれません。

請求項の文章は独特で、最初は非常に読みにくく感じます。
全部を一度に理解しようとせず、
 「この発明には何が必要とされているか」
という視点で構成要素を拾っていくと読みやすくなります。

背景技術と課題を読む

次に「背景技術」や「発明が解決しようとする課題」に相当する部分を確認します。

ここには、
  なぜこの発明が必要なのか
が説明されています。

例えば、
  「従来の方法では日常動作と転倒を区別することが難しかった」
という課題が書かれているかもしれません。

すると、この発明のポイントは単に「転倒を検出する」だけではなく、
  日常動作と転倒を高精度に区別すること
だと分かります。

この情報は、次に検索するときの重要なヒントになります。

実施形態は必要に応じて読む

実施形態には、発明を具体的に実現する方法が詳しく書かれています。
実施形態は「課題を解決するための手段」と書かれている場合もあります。

技術の内容を深く理解したい場合は重要ですが、検索結果を短時間で選別している段階では、実施形態をすべて読む必要はありません。

まず、発明の名称、要約、図面、特許請求の範囲を確認し、「これは重要そうだ」と思った文献だけ詳しく読むのがおすすめです。

公報を読む もう一つの目的は「検索語を発見すること」でもある

公報は、技術内容を理解するためだけに読むものではありません。
次の検索に使える関連語、類義語を見つけるためにも読みます。

例えば最初、キーワードは、
 「スマートウォッチ」
 「転倒」
というしか思いつかなかったとします。

ところが公報を読むと、
 「装着型電子機器」
 「慣性測定ユニット」
 「加速度」
 「姿勢」
 「衝撃」
 「異常イベント」
など、検索に使えそうな表現が見つかるかもしれません。

これらを調査ノートに追加します。

今回の検索語ノート

概念キーワードの候補
デバイススマートウォッチ ウェアブル 腕時計型 装着型
現象転倒 転落 異常イベント
動作検出 判定 識別
状態姿勢 衝撃 動作
センサー加速度センサ 慣性センサ 慣性測定ユニット
対応通知 通報 緊急連絡 通報

検索ワードが一気に増えました。
これが公報を読む大きな意味の1つです。

まとめ

今回は、特許公報を読みました。
技術内容や権利範囲を理解するとともに、検索キーワードを得ることができました。

次回第4回は、この検索語ノートを使って、本格的な「特許・実用新案検索」による検索に進みます。

最後までお読みいただきありがとうございました。

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