国内の特許について調べたいと思ったとき、最初に使うのは「J-PlatPat(特許情報プラットフォーム)」です。
J-PlatPat を使えば、日本で公開された特許や登録された特許などを無料で検索できます。
無料のツールといっても、J-PlatPat は本格的な検索機能を備えたツールです。
しかし、初めて J-PlatPat を開いた人は、
「どうやって検索すればいいの?」
「項目が多くて難しそう」
と感じるかもしれません。
J-PlatPat には詳しいヘルプが付いていますし、使い方を解説するサイトは国立国会図書館などたくさんありますので、ここでは別の角度から解説したいと思います。
この連載では J-PlatPat の機能を最初から全部説明するのではなく、1つの例題を使って、
簡単な検索 → 公報を読む → 検索条件を改良する → 特許分類を使う
という順番で、少しずつ特許検索の方法を身につけるように解説します。
第1回目のミッションは、とてもシンプルです。
スマートウォッチなどのウェアラブル端末で、ユーザーの転倒を検出する技術
を検索で探してみましょう。
J-PlatPat とは?
J-PlatPat は、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)が提供している特許情報検索サービスです。
特許だけでなく実用新案、意匠、商標が調べられますが、この連載では特許・実用新案の検索に絞って説明します。
J-PlatPat にはさまざまな検索方法があります。
最初に使いやすいのが「簡易検索」です。
簡易検索では、詳細な検索条件を設定しなくても、キーワードを入力するだけで特許・実用新案などを検索できます。
特許・実用新案を選択した場合、発明の名称、出願人、発明者、要約、請求の範囲などが検索対象になります。
Step 1 J-PlatPatの簡易検索を開く
J-PlatPat のトップページを開くと、簡易検索の画面が表示され、キーワードを入力するための検索欄があります。
検索対象として、「特許・実用検索」を選択します。

ここでは、検索を難しく考える必要はありません。
まず思いついた言葉を入れて検索してみましょう。
今回入力するのは、
スマートウォッチ 転倒
です。
「特許・実用新案」のチェックボタンをクリックし、キーワードをスペースで区切って入力して、「検索」ボタンをクリックします。
キーワードをスペースで区切って入力すると AND検索 になります。つまり、この例では「スマートウォッチ」と「転倒」の両方に関係する文献を探すことになります。
Step 2 検索結果一覧を見る
検索が終わると、検索結果一覧が表示されます。
簡易検索では検索結果が3,000件を超えた場合に、日付を使って自動的に絞り込む機能が用意されています。この場合は、さらにキーワードを追加して、検索結果を絞ります。

ここで、いきなりすべての文献を読もうとする必要はありません。
まず確認するのは、
- 発明の名称
- 出願人/権利者
- 文献番号(公開番号)
- 告知日(公開日)
などです。
Step 3 気になる特許を1件開いてみる
検索結果の中から、今回のテーマに近そうな文献を1件選んでみましょう。
発明の名称を眺めながら、「これは転倒検出に関係がありそうだ」と思う文献をチェックします。
気になる文献が見つかったら、文献番号をクリックすると文献表示画面に詳細が表示されます。

さまざまな情報が表示されますが、まず確認したいのは、「発明の名称」「出願人」「要約」の3つです。


例えば要約を読んで、
「腕に装着する装置がユーザーの動きを検出し、転倒を判定する」
といった内容が書かれていれば、今回探している技術にかなり近そうです。
この段階では請求項や長い明細書をすべて理解する必要はありません。
まずは、自分が探している技術に近い特許かどうか、を判断できれば成功です。
特許検索では類語に注意する
ここで特許検索の重要なポイントがあります。
例えば「スマートウォッチ 転倒」と検索しても、目的の特許を全部見つけられるとは限りません。
「スマートウォッチ」と同じような言葉には、
◦電子腕時計
◦腕時計型端末
◦ウェアラブルデバイス
◦ウェアラブル端末
◦身体装着型装置
など、特許によって様々に使われています。
「転倒」についても、
◦倒ける
◦転落
◦落下
◦姿勢変化
◦異常動作
など、別の表現が使われる可能性があります。
特許検索を行うときには、特許にこのような類語が様々に使われていることを想定して検索を行う必要があります。1つのキーワードだけで検索していると、重要な特許を見逃す可能性があるのです。
検索語ノート
今回の検索の、検索ワードの候補は以下のようになります。
今後の検索では、この言葉を少しずつ増やしていきます。
| 概念 | キーワードの候補 |
| デバイス | スマートウォッチ ウェアブル端末 |
| 現象 | 転倒 転落 |
| 動作 | 検出 判定 |
| センサー | 加速度センサ 慣性センサ |
| 対応 | 通知 通報 緊急連絡 |
まとめ ― まずは「1件見つける」ことから始めよう
初めてJ-PlatPatを使うと、何か特殊なことを行わなければならないと思うかもしれません。
しかし、最初から複雑な検索式を作る必要はありません。
まずは、
キーワードを入力する
↓
検索結果を見る
↓
興味のある公報を開く
という3ステップで検索は行えます。
1件でも目的に近い特許を見つけられれば、次の検索につながる情報を得ることができます。
特許検索のプロでも、初めての技術分野の特許を探すときは、最初に見つけた「当たりの特許」を手がかりに検索を進めているのです。
第1回は、J-PlatPat の簡易検索を使って、キーワド検索を行いました。
第2回では、特許番号の意味と、番号を使って目的の特許を直接探す方法を説明します。
最後までお読みいただきありがとうございました。


