USPTO(米国特許商標庁) パテントパブリックサーチの使い方 ー アドバンスサーチ ー

特許検索

今回は、Patent Public Searchのアドバンスサーチ(詳細検索機能)の使い方について解説します。
前回紹介したベーシックサーチは、特許番号や公開番号による検索や複数のキーワードによる検索が素早く行える機能でしたが、今回紹介するアドバンスサーチは、分類とキーワードを使って詳細な検索が行える本格的な検索ツールです。 

 ※ USPTO(United States Patent and Trademark Office:米国特許商標庁)は米国の特許庁です。

Advanced Searchにアクセス 

Googleで「アメリカ 特許庁」と検索し、検索リストから「Patent Public Search」をクリックすると、USPTOのトップページが表示されます。 

「Advanced search」ボタンをクリック

Patent Public Searchのページで「Advanced search」をクリックします。

Advanced searchの画面

Basic Search (Patent Public Search Basic) の画面は3つの部分に分かれています。

①左上は「Search」パネルです。検索式や特許番号を入力して検索を行います。
②左下は、「Search Result」パネルです。①の検索の結果がリスト表示されます。
③右は、②で指定した特許文献の内容が表示されます。

利用可能なデーターベース

Advanced Searchでは以下のデータベースが選択できます。
通常はデフォルト(全部選択)のままで良いです。デフォルトでは全てのデータベースが選択されていて、チェックボックスで個別に設定可能です。

US-PGPUB: 2001年以降の公開特許出願
USPAT: 1970年以降の全文検索可能な米国特許
USOCR: 1970年以前のOCRスキャン済み特許

検索の実際

では、さっそく検索を行ってみましょう。

番号による検索

特許公報の番号が分かっているときは、検索パネルのテキストボックスに「公報番号.pn.」と入力し、「Search」ボタンをクリックします。
あるいは、番号を入力し、「PN」ボタンをクリックしても、検索が行えます。

例えば、 公報番号US2021/0223862を検索するには、検索ボックスに「20210223862.pn.」と入力し、「Search」ボタンをクリックします。

または、検索ボックスに「20210223862」と入力し、「PN」ボタンをクリックします。

複数の番号を一度に検索する場合は、検索する番号をスペースで区切って入力し、「PN」ボタンをクリックします。

公報の番号は以下のフォーマットに合わせて入力します。

実用新案    少なくとも7桁が必要です。足りない場合は、先頭に「0」を入れます。(例:0123456.pn.)
2018年6月19日以降の実用新案は、8桁で入力します。(例:11000000.pm.)
意匠特許    先頭に[D]を入れ、6桁で入力します。(例:D123456.pn.)
植物特許    先頭に[PP]を入れ、5桁で入力します。(例:PP12345.pn.)

検索が完了すると、左下の「Search Results」パネルに検索の結果が表示され、右の「Document Viewer」パネルに特許公報の内容がテキスト表示されます。

テキスト/画像の切替ボタンをクリックするとPDFが表示されます。

フロッピーディスクのボタンをクリックすると、PDFをダウンロードできます。

キーワードによる検索

キーワードによる検索を行うには、検索ボックスにキーワードを入力し、「Search」ボタンをクリックします。

例えば、タイトルに「radar」がある特許を検索するには、検索ボックスに「radar.ti.」と入力し、「Search」ボタンをクリックします。

タイトルに「radar」がある特許が20,794件検索され、リストのタイトルには検索キーワード「RADAR」の部分が青色でマーキングされます。

公報を表示するには、リストの「Document ID」(この例では、「US 20240402287 A1」をクリックすると、公報が右に表示されます。

サーチインデックス(フィールドコード)の活用

検索ボックスに入力した「radar.ti.」の最後の部分「.ti.」はサーチインデックスで、検索する項目を特定するときに使用します。

例えば、Abstract(要約)の中に「radar」がある文献を検索するには、検索ボックスに「radar.ab.」と入力し、「Search」ボタンをクリックします。

一般的に使用されるサーチインデックスは以下のものがあります。

サフィックス説明
ABAbstract(要約)を検索radar.ab.
ADApplication Filing Date(出願日)を検索20120616.ad.
APPApplication Number(出願番号)を検索10/501576.app.
または (12/123456).app.
ASAssignee(出願人/特許権者)を検索Microsoft.as.
ATTAttorney(弁護士)を検索(john NEAR3 smith).att.
ATTYAttorney/Agent/Firm(弁護士/代理人/事務所)を検索(cantor NEAR3 colburn).atty.
AY or FYApplication Filing Year(出願年)を検索2006.ay.
BSUMBrief Summary(簡単な概要)を検索medicinal.bsum.
CCLSUSPC(U.S. Patent Classification:米国特許分類およびサブクラス)を検索138/$.ccls.
CLAS特許公報に書かれているUSPC Classification(USPC分類)の文字を検索435.clas.
CLM or CLMSClaims(請求項)を検索tube.clm. または tube.clms.
CPC全てのCPC(Cooperative Patent Classification)を検索F16L11/00.cpc.
DID特定のDocument IDを検索 (ハイフン(-)を使用)US-11449323-B2.did. またはUS-20220297635-A1.did.
FDApplication Filing Date(出願日)を検索20110811.fd.
IN or INVInventor Name(発明者名)を検索(Smith NEAR2 John).in.
IPC全てのIPC(International Patent Classifications:国際特許分類)を検索G06F17/00.ipc.
PDPublication Date(公開日)を検索20150217.pd.
PNPublication Number(公開番号)を検索7557042.pn.
SPECSpecification(明細書)を検索collar.spec.
TITitle(タイトル)を検索concrete.ti.
URPNReferences cited patent numbers(引用文献の特許番号)を検索0525207.urpn.
XAAssistant Examiner’s Name(審査官補)の名前を検索smith.xa.
XPPrimary Examiner’s Name(主任審査官)の名前を検索hook.xp.

AY(application year、出願年)、AD(application date、出願日)、PY(publication year、公開年)、PD(publication date、公開日)については以下のように範囲設定が可能です。

説明
等しい(Equal “=”)@pd=20011118      (公開日が2001/11/18と同じ)
より大きい(greater than “>”)@ad>19961231      (出願日が1996/12/31より後)
以上(greater than or equal to “≧”)@ay>=2014            (出願年が2014年より後)
より小さい(less than “<“)@py<1975              (公開年が1975年より前)
以下(less than or equal to “≧”)@py<=1975        (公開年が1975年か、それより前)
等しくない(not equal to “<>”)@pd<>19990216   (公開日が1999/2/16ではない)
範囲(range)@ay>=1980<=1986(出願年が1980年~1986年)

Searchのオプション

検索ボックスの下にはオプション設定パネルがあります。

「Default Operator」は、検索ボックスで記述する検索式のデフォルトの論理演算子を設定します。
例えば、「Default Operator」で「AND」を設定し、検索ボックスに「Cars Automobiles Vehicles」とキーワードをスペースで区切って入力して「Search」ボタンをクリックすると、設定した演算子「AND」が自動的に挿入され、「Cars AND Automobiles AND Vehicles」という検索式であると解釈され検索が行われます。

「Highlights」を設定すると、右ウィンドウの「Document Viewer」のテキスト表示にキーワードをハイライト表示します。
このとき、「Single Color」を設定するとキーワードを同色でハイライト表示し、「Multi-color」を設定すると複数色でハイライト表示します。「None」でハイライト表示はOFFになります。

• 「Show Errors」をチェックすると、検索ボックスの下にエラーが表示されます。
• 「Plurals」をチェックすると、単数形と複数形の両方のキーワードが自動で検索されます。
• 「British Equivalents」をチェックすると、”color”に対する”colour”、”tire”に対する”tyre”のように、米英語に対する英語の検索も自動で行われます。

論理演算子、ワイルドカード、近接演算子

論理演算子(boolean operator)は、AND, OR, NOT, XORが使えます。

論理演算子動作
AND同一のドキュメントの中に2つの単語が存在する特許文献が検索されます。語順は関係ありません。photographic AND noodleドキュメントの中に「photographic」と「noodle」の両方が存在する特許文献が検索される。順序は問わない。
OR同一のドキュメントの中に少なくとも1つの単語が存在する特許文献が検索されます。dog OR catドキュメントの中に「dog」と「cat」の少なくとも1つが存在する特許文献が検索される。
NOTNOTの前にある単語が存在し、NOTの後にある単語が存在しない特許文献が検索されます。語順は関係ありません。cardboard NOT boxドキュメントの中に「cardboard」は存在するが、「box」は存在しない特許文献が検索される。
XOR同一のドキュメントの中に2つの単語のいずれかが存在するが、両方は存在しない特許文献が検索されます。pipe XOR ptfeドキュメントの中に「pipe」と「ptfe」のいずれか1つが存在するが、両方は存在しない特許文献が検索される。

ワイルドカードは、綴りが似た単語をまとめて指定するときに使用します。

論理演算子説明動作
?単語の中のいずれか1文字と置き換えます。単語の先頭でも末尾でも使用できます。m?croドキュメントの中に「micro」「macro」などの単語が存在する特許文献が検索される。
$単語の中の指定した文字数の文字と置き換えます。micro$3「$3」は3文字と置き換える。ドキュメントの中に「microvia」「microbio」「microsec」「microgel」などの単語が存在する特許文献が検索される。
* or $単語の中の複数の文字と置き換えます。micro*
micro$
ドキュメントの中に「micro」から始まる「microencapsulated」「Microelectronic」「microelectromechanical」などの単語が存在する特許文献が検索される。

近傍演算子(proximity operator)は、ADJ, NEAR, WITH, SAMEが使えます。

近傍演算子説明動作
ADJ1つの文の中で、2つの単語がその後順で指定した距離内に存在する特許文献を検索します。Wet ADJ4 silicon「wet」の後4ワード以内に「silicon」が存在する文がある特許文献が検索されます。
最長で450ワード以内。
「ADJ」は「ADJ1」と扱われます。
NEARADJに似ているが、語順は問いません。cyclotron NEAR7 magnetic1つの文の中で、「cyclotron」と「magnetic」が7ワード以内に存在する特許文献が検索されます。
最長で450ワード以内。
「NEAR」は「NEAR1」と扱われます。
WITH指定した距離内にある文の中に、2つの単語が存在する特許文献を検索します。detect WITH10 light10個の文の中に、「detect」と「light」が存在する特許文献が検索されます。
最長で25文以内。
「WITH」は「WITH1」と扱われ、同一文の中に2つの単語が存在する特許文献が検索されます。
SAMEWITHと似ているが、指定した距離内にある段落の中に、2つの単語が存在する特許文献を検索します。wheel SAME3 wood10個の段落の中に、「wheel」と「wood」が存在する特許文献が検索されます。
最長で25段落以内。
「SAME」は「SAME1」と扱われ、同一段落の中に2つの単語が存在する特許文献が検索されます。

検索結果の再利用

検索結果はL番号として保存されます。L番号を使って、検索結果を利用した検索を行うことができます。
検索結果のL番号は「Search History」で参照できます。

例えば、「(lidar OR radar) ADJ4 sensor」がL1として保存され、「automobile OR car OR vehicle」がL2として保存されているとき、「L1 AND L2」という検索を行うことができます。

まとめ

今回は、Patent Public Searchのアドバンスサーチ(詳細検索機能)の使い方について解説しました。
アドバンスサーチには、他にも様々な機能が搭載されていますが、一回ではとても説明しきれません。また別の機会に説明したいと思います。

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