Appleが取得した特許(US12050324B1)は、ノーズブリッジディスプレイ付きのスマートグラスに関するものです。スマートグラスは、拡張現実(AR)や仮想現実(VR)技術を用いた次世代のウェアラブルデバイスとして注目されています。Appleなど各社はメガネ型のスマートグラスの開発に力を入れています。
このブログ記事では、この特許技術について詳しく解説し、その特徴や利点を紹介します。
スマートグラス特許の概要
このスマートグラスは、ユーザーがリアルワールドの物体を視認しながらコンピューター生成のコンテンツを同時に表示できるように設計されたヘッドマウントデバイスです。ヘッドマウントデバイスは、透明なレンズとノーズブリッジ部分に配置されたディスプレイデバイスを含むフレームを持ち、これによりスマートグラスが曲がったときでも歪みのない画像が表示され、よりリアルなARやVRの体験を提供します。
ノーズブリッジディスプレイのスマートグラスの構成
ヘッドマウントデバイスの構造:ヘッドマウントデバイスは、眼鏡フレームと同様の形状を持ち、左側部分と右側部分とがノーズブリッジ部分で結合されています。ノーズブリッジ部分には内向きのディスプレイデバイスが配置され、これがユーザーの左目と右目の視野にそれぞれ対応する画像を提供します。
ディスプレイシステム:左右のディスプレイシステムは、入力カプラー、導波管路、出力カプラーを使用して、ディスプレイデバイスからユーザーの目に画像を提供します。この構成により、フレームの左側部分や右側部分がノーズブリッジ部分を中心に曲がっても、左右の画像の整合性が保たれるようになっています。
画像を伝送する導波技術:ディスプレイからの光は、導波管を通じてユーザーの眼に伝達されます。導波管は、透明なポリマーやガラスなどの素材で作られ、内部全反射の原理を利用して光を伝達します。導波管の出力カプラーは、ユーザーの目の前に位置するレンズの中央部分に配置されており、ディスプレイデバイスからの画像をユーザーの視野に投影します。これによりユーザーは実世界のオブジェクトと重ね合わせた仮想画像を視認できます。
特許図面の説明
Fig.1:スマートグラスの前面図
Fig.1は、スマートグラスの前面図を示しています。スマートグラス(10)は、眼鏡のフレームに類似した構造を持ち、左右の部分がノーズブリッジ部分(26NB)で結合されています。図では左目用の部分が示されており、右目用の部分は省略されています。スマートグラス(10)は、ユーザーの顔の前に配置される部分(リム)(26M)を持ち、これは左目と右目の視野を透過する透明なレンズ(46)を保持しています。スマートグラス(10)は、使用中にユーザーが左アイボックス(30)と右アイボックス(30)にそれぞれ対応する画像を表示します。
アイボックスとは、光学系が表示する画像をユーザーの目が正しく観察できる範囲です。

Fig.3:スマートグラスの上面図
Fig.3は、スマートグラスの上面図を示しています。支持構造(26)は、ユーザーの頭にスマートグラス(10)を装着するためのリム(26M)を含みます。ヒンジ(26H)は、フレーム部分(26M)を左右のテンプル(側面支持部材)に接続します。ノーズブリッジ部分(26NB)は、デバイスの左半分と右半分を結合します。

Fig.4:ディスプレイシステムの断面図
Fig.4は、ディスプレイシステムの断面図を示しています。ディスプレイシステム(14D)は、画像を生成するディスプレイデバイス(14)を含みます。ディスプレイ(14)からの画像光は、導波管(54)にある導波管表面(66)で全反射して伝送され、アイボックス(30)の前方にある出力カプラーに伝達します。(導波管(54)は導波管表面(66)の外周にある管です。)入力カプラー(61)は、画像光を導波管(54)に結合し、出力カプラー(56)は、導波管(54)からアイボックス(30)に向けて画像を投影します。

Fig.5:反射光導体構造の図
Fig.5は、反射光導体構造の概略図を示しています。導波管(54W)は、平行な反射面(66)を持ち、入射画像光(58)を導波管(54W)内で全反射させます。角度Aの変化により、出力画像(62)の方向が調整されますが、出力画像(62)は常に入力画像(58)と同じ方向(Z軸方向)に向かいます。

Fig.6:ディスプレイ配置の上面図
Fig.6は、ディスプレイ配置の上面図を示しています。左右のディスプレイ(14)は、ノーズブリッジ部分(26NB)に配置され、内向きに配置されています。この配置により、フレーム部分(26M)がノーズブリッジ部分(26NB)を中心に曲がっても、左画像(50L)と右画像(50R)の整合性が保たれます。

まとめ
この特許技術は、ノーズブリッジにディスプレイデバイスを配置することで、ユーザーの視覚的な一貫性と快適さを両立し、ARやVRの体験を新たなレベルに引き上げる可能性を秘めています。今後の技術発展により、さらに多くの応用が期待されるこの技術に注目です。
特許情報
特許番号:US12050324B1
タイトル:Head-mounted Devices With Nose Bridge Displays
発明者:David A. Kalinowski
出願人:Apple Inc.
登録日:2024/7/30
出願日:2021/5/4
特許の詳細については、US12050324を参照してください。
【参考記事】[Patently Apple] (https://www.patentlyapple.com)
※企業の特許は、製品になるものも、ならないものも、どちらも出願されます。今回紹介した特許が製品になるかどうか現時点では不明です。ご注意ください。
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