今回は Espacenet(エスパスネット)の使い方について解説します。
Espacenetは、欧州特許庁(EPO:European Patent Office)が提供する特許検索データベースです。EPOは、イギリス、フランス、ドイツなどヨーロッパの国々で締結されている欧州特許条約に基づいて設立された国際機関です。
Espacenetは世界100以上の国・地域の特許文献を収録しており、1億6千万件を超える特許・実用新案文献にアクセスできます。
(以下の図は、Espacentの画面に加筆して作成しています。)
Espacenetの特徴
Espacenetの最大の特徴は、以下の点にあります。
- 無料で利用可能(アカウント登録不要)
- 世界各国の特許文献を横断的に検索可能
- 出願公開、公報全文、図面、経過情報(リーガルステータス)まで確認可能
- Google Patentsと並び、国際調査の標準ツールとして広く利用されている
日本の特許庁(JPO)が提供する「J-PlatPat」が日本国内向けの調査に強いのに対し、Espacenetは海外特許調査・先行技術調査において非常に有力なツールです。
特に次のような場面でEspacenetは活躍します。
- 海外特許の概要を素早く把握したい
- PCT出願の各国移行状況を確認したい
- 競合企業の海外特許戦略を俯瞰したい
Espacentにアクセス
Espacenetの公式サイト
Googleで「espacenet」と検索し、検索リストから「Espacenet – patent search」をクリックすると、Espacenetのトップページが表示されます。

Google検索の先頭にある「Espacenet – ホームページ」は日本語のページですが、旧バージョンの画面であり、2011年から更新されていません。
今回は、「Espacenet – patent search」からリンクされるEspacenet(EPOのオリジナルページ)について解説します。
(あるいは、こちらから直接アクセスしてください。)
Espacenet トップページの構成

Espacenetのトップページは非常にシンプルで、主に次の要素で構成されています。
① 検索窓(Smart search bar)
② 詳細検索(Advanced search)へのリンク
③ IPC/CPC検索(Classification search)へのリンク
④ ヘルプ・ガイド(Help)へのリンク
⑤ 言語切換
⑥ 使い方の簡単なビデオ
画面右上⑤から言語を切り替えることが可能です。(残念ながら日本語を選択することはできません。)
公報番号・特許番号を使った検索
ここでは、最も利用頻度が高い「ナンバーサーチ(番号検索)」を中心に解説します。
番号検索とは、既に分かっている公報番号や特許番号を直接入力して文献を特定する方法です。
トップページ上部の①検索窓に、以下のように番号を入力します。
- JP6468078B2(日本公開特許)
- US2021223862A1(米国特許)
- EP3456789A1(欧州特許)
- WO2017216118A1(PCT国際公開)
番号はハイフンなしで入力するのが基本です。
大文字・小文字は自動的に補正されるため、厳密に気にする必要はありません。

番号を入力すると、即座に該当文献の詳細ページが表示されます。
複数候補がある場合でも、リストは非常に限定されるため、迷うことはほとんどありません。
公報全文の表示と画面構成

文献詳細ページの全体構成

文献詳細ページは、画面上部のタブによって情報が整理されています。
主なタブは以下の通りです。
- Bibliographic data(書誌情報)
- Description(明細書)
- Claims(請求項)
- Drawings(図面)
- Original document (特許公報のPDF)
- Citations (引用文献)
- Legal events (経過情報)
- Patent family(パテントファミリー)
書誌情報(Bibliographic data)

“Bibliographic data”では、特許文献の基本情報を確認できます。
- 発明の名称(Title)
- 出願人(Applicant)
- 発明者(Inventor)
- IPC / CPC 分類(Classifications)
- 優先権情報(Priorities)
- 出願・出願日(Application, Application Date)
- 公開・公開日(Publication, Publication Date)
- ファミリー情報(Published as)
- 要約(Abstract)
複数の国に出願された文献のときは、画面右上の「Available in」から表示する文献を選択することが出来ます。
また、「Patent Translate」から言語を選択することで、機械翻訳の言語を選択することができます。
また、隣にある三点ボタンから「Download」「Print」が選べます。

特許の詳細(Description, Claims, Drawings)

“Description”, “Claims”, “Drawings”などで、特許文献の詳細情報が確認できます。タブ切換えだけでこれらの情報を即座に確認できます。
- 発明の詳細な説明(Description):背景技術、課題、効果、実施例などが記載されています。
- 請求項(Claims):特許の権利範囲
- 図面(Drawings)
- 原本(Original document)
- 引用文献(Citations)
経過情報(Legal events)

“Legal events”では、出願・審査の状況から、現在有効なのか、失効しているのかまでを確認できます。
表示される主な情報は以下の通りです。
- 出願
- 公開
- 登録
- 年金未納による権利消滅
- 取下げ・放棄
Espacenetのリーガルステータス情報は、INPADOC(国際特許文献データベース)に基づいており、各国特許庁の公式情報を横断的に確認できる点が大きな強みです。
※ ただし、最終的な法的判断は必ず各国特許庁の公式データで確認する必要があります。
パテントファミリー(Patent Family)

「Patent family」タブでは、同一発明に基づく各国出願の一覧を確認できます。
- どの国に出願されているか
- どの国で権利化されているか
- PCTルートか、パリルートか
企業の海外展開戦略を把握する上で非常に重要な情報です。
まとめ
- Espacenetは、欧州特許庁(EPO)が提供する機能が非常に豊富な特許検索データベースです。
- 特許検索で最初に抑えておくべき、番号検索について説明しました。
- 次回は、より実務的な検索テクニックについて解説していく予定です。
今回は、Espacenetのナンバーサーチ(番号検索)の使い方について解説しました。
次回は、アドバンスサーチの使い方について解説したいと思います。
最後までお読みいただきありがとうございました。


