PATENTSCOPEは、PCT出願でおなじみのWIPOの検索サービスです。PCT出願 520万件を含む、合計1億2千4百万件の特許文献が検索可能な巨大データベースですので、グローバルに特許検索を行う際に重宝します。
今回は、PATENTSCOPEの簡易検索の使い方について解説します。
※ WIPO(World Intellectual Property Organization:世界知的所有権機関)はスイス・ジュネーブにある国際機関です。
(以下の図は、PATENTSCOPE の画面に加筆して作成しています。)
PATENTSCOPEのアクセス
Googleで「patentscope」と検索し、検索リストから「WIPO – 国際・国内特許データベース検索」をクリックします。
あるいは、PATENTSCOPE (https://patentscope2.wipo.int/search/ja/search.jsf) に直接アクセスします。

PATENTSCOPEの簡易検索のページが表示されます。

(WIPO PATENTSCOPE の画面を引用)
ユーザーアカウントを作成する
PATENTSCOPEはログインしなければ表示されないメニューがあるので、WIPOユーザーアカウントを作成します。
右上の「IP Portalログイン」をクリックします。

「WIPOへようこそ」が表示されますので、「ログイン」の下にある「WIPOユーザーアカウントを作成」をクリックして、アカウントを作成します。

検索の種類
PATENTSCOPEでは、5つの検索モードで知的財産の検索を行うことができます。右上にある「検索」から検索モードを選択できます。

(PATENTSCOPEの画面を引用)
| 簡易検索 | 7種類の検索フィールドから1つを選んで簡易な検索を行います。 |
| 詳細検索 | 様々な検索用語を用いた検索条件により検索を行うことのできる高度な検索機能です。 |
| 構造化検索 | 複数の検索フィールドを組み合わせて検索を行います。 |
| 多言語検索 | 入力した検索後の言語と、それ以外の13の他の言語に翻訳して検索を行います。 |
| 化学化合物 | メニューから化学化合物を選択して化学物質情報を検索できます。 |
簡易検索(Simple Search)
簡易検索を選択すると、特許文献のフロントページの項目から素早く検索できます。この機能は、特定の特許文献に直接アクセスしたい場合に便利です。
簡易検索は以下の手順で行います。
- ①「検索フィールド」のプルダウンから検索フィールドを選択し、「検索用語」ボックスに、検索語、検索式、フィールドコードを入力します。
- ②「官庁」のプルダウンは、検索する特許文献コレクション(データベースの範囲)を指定したい場合に選択します。通常は「全て」にします。

(PATENTSCOPEの画面を引用)
「検索フィールド」は以下の種類から選択できます。

| 表紙(フロントページ) | 特許文献の表紙(フロントページ)の検索を行います。 |
| 全てのフィールド | 全てのフィールドを対象として検索を行います。 |
| フルテキスト | 特許文献の全文を対象として検索を行います。 |
| 請求の範囲 | 請求の範囲(クレーム)を対象として検索を行います。 |
| 全てのID/番号 | 公開番号、出願番号などを入力して検索を行います。 |
| 全ての分類 | 国際特許分類(IPC)、共通特許分類(CPC)、ファイルインデックス分類(FI)のコードを入力して検索を行います。 |
| 全ての氏名(名称) | 発明者名、出願人名、社名などを入力して検索を行います。 |
| 公開日 | 公開日の日付を入力して検索を行います。 |
「検索式例」をクリックすると、検索用語の例が表示され、表示された例をクリックすると検索用語が検索ボックスに入力されます。

(PATENTSCOPEの画面を引用)
検索用語の例は選択した「検索フィールド」によって適切な例が表示されます。
「表紙(フロントページ)」を選択したときの検索用語例のそれぞれの意味は以下の通りです。
- “electric car”~50 : electricとcarが50単語以内に存在する。
- Smith or Klein : SmithまたはKeinが存在する。
- WO2010000001 : 特許協力条約(PCT)の特許番号WO2010/000001の文献。
- EP2011001709 : 欧州特許庁(EPO)の特許番号EP2011/001709の文献。
- “sol* panel”~5 : solを含む単語とpanelが5単語以内に存在する。
- elect?icit? : electとcitを含む単語が存在する(?は1文字のワイルドカード)。
- electric^10 and car^3: electricの関連性係数が10で、carの関連係数が3である文献。
検索用語に使われるオペレータとフィールドコードは、下記「オペレータとフィールドコード」を参照してください。
検索例 – 電気自動車の特許出願
- electricとcarが50単語以内に存在する特許文献を検索するために、「検索用語」に「”electric car”~50」と入力します。
- 「🔍」ボタンをクリックすると、該当する特許文書がリストで表示されます。
- リストの公開番号をクリックすると、詳細情報が表示されます。



(PATENTSCOPEの画面を引用)
オペレータとフィールドコード
PATENTSCOPEで使用するオペレーター(演算子)は以下のものです。
| オペレーター | 意味 | 使用例 |
| AND (常に大文字を使用) | 数学の論理記号のANDと同じ | metal AND wood |
| OR (常に大文字を使用) | 数学の論理記号のORと同じ | metal OR wood |
| NOT (常に大文字を使用) | NOTの後の単語を含まない (NOTを含む検索式は予期せぬ結果を生みやすいので注意が必要) | NOT wood |
| ANDNOT(常に大文字を使用) | ANDNOTの前の単語は含む、後の単語を含まない (ANDNOTも同様に使用に注意が必要) | metal ANDNOT wood |
| ? | 単語の中の1文字をいずれかの文字に置き換え可能にする | me?al(metal, medalに相当) |
| * | 単語の中の複数の文字をいずれかの文字に置き換え可能にする | biolo*(biological, biologyに相当) |
| ^ | 複数の単語で重み付けをつける A ^10 Bでは、AはBより10倍関連性が高くなる | metal ^10 wood |
| + および – | 検索に含める単語を+で、検索に含めない単語を-で指定する | +metal-wood |
| ( ) | 数学の論理記号の ( と ) と同じ | (metal OR liquid) AND wood |
| ~ あるいは NEAR | 近傍検索を行います “A B”~10では、AとBの距離が10単語以内 A NEAR Bでは、AとBの距離が5単語 | “metal wood”~10 metal NEAR wood |
| [ ] | 範囲を示します [2000 TO 2020]は、2000年から2020年の文献を指定します | [01.01.2000 TO 12.31.2020] |
| { } | 範囲を示します {2000 TO 2020}は、2001年から2019年の文献を指定します | {01.01.2000 to 01.01.2021} |
PATENTSCOPEで良く使われるするフィールドコード(シンボル)は以下のものです。
| フィールドコード | 意味 | 使用例 |
| FR | フロントページのタイトル、要約、公報番号、名前を検索 | FR(elect?icit?) |
| PA | 出願人氏名又は名称(Applicant Name) | PA:(Smith, John) |
| AD | 出願日(Application Date) | AD:(20200910) |
| AN | 出願番号(Application Number) | AN:(US2020*) |
| CLASSIF | 全ての分類(All Classifications) | CLASSIF:(B01D 29/00) |
| IC | 国際特許分類(International Class, IPC) | IC:G06F |
| CPC | CPC分類(Cooperative Patent Classification) | CPC:(B01D 29/00) |
| FICLASSIF | FI分類(File Index Classification) | FICLASSIF:(“G09G*”) |
| FTERM | Fターム | FT(5C080JJ06) |
| IN | 発明者氏名(Inventor Name) | IN:(JOBS, Steve) |
| AU | 論文筆者(Author) | AU:(Steve Jobs) |
| DP | 発行日、公開日(Publication Date) | DP:(30.12.2024) |
| PN | 公開番号(Publication Number) | PN:(JP2020067890) |
| WO | PCT公開番号(WIPO Publication Number) | WO:(2024/000012) |
まとめ
今回は、WIPOのPATENTSCOPEの簡易検索(シンプルサーチ)の使い方について解説しました。
簡易検索は、容易に特許検索が行えるツールです。
次回は、詳細検索など他の機能について説明します。
最後までお読みいただきありがとうございました。


